会社概要

あはれ。

本居宣長は『もののあはれ』と言っていましたが、これは “ああ“ というため息のこと、らしい。
彼は桜をみても、雲を追っても “ああ” とため息をつき、景色と人間の境がなくなっていくのを感じていました。
この世の至るところに＜あはれ＞は溢れている、と。

柔らかな風がふいてきたのです。
それは、輪郭のはっきりとしたモノクロのピンっと張った寒空の季節から、
薄桃色に寄り添う、淡いモスグリーンのサワサワとしたパステルカラーの世界へ。

アートというのは、“思い“のかたちではなかろうか。
「こころ」は、意識であり、「おもい」は無意識であるという。

私は、空を見上げて、そして、まだ歩みを切り出す前に、思ったのです。
それは、明確な決意でした。

まだ見知らぬ人へ私の経験で培った少しばかりの「こころ」を伝えられるのではないか、と。
一歩ずつ。
偉大な歴史に、前例に臆することなく、はじめること。
そう、誓いました。

私は美大の大学院に至るまで美術理論を学び、その後、15年近くをオークション会社におりました。

2022年。このたび、西麻布という場所で、＜いちアート＞は、はじまりました。
私たちは＜ギャラリー＞・＜オークション＞・＜アートと社会福祉＞という3つの課題に向き合います。

＜あはれ＞、と。
共に「こころ」から響かせられるよう。

小さな実験室のような会社ですが、必ずや皆さまのおもいに届くよう努力いたします。
どうか末永く、よろしくお願いいたします。

2022年
初夏のような春の日に、